home 淡水の魚たち 海の魚たち 魚以外の生物 取材日記 profile
取材日記Vol.15「ナキウサギ登山」

 ダイバーの私が突然山に登りたくなった訳ではない。東大雪にある然別湖の流入河川でミヤベイワナ(オショロコマ亜種)と言うイワナの仲間を数年にわたって撮影して来た。そろそろビデオにまとめて見ようと思いたったとき、然別湖を一望に望むカットが欲しくなった。いろいろ調べて見たところ、ナキウサギの写真集で、然別湖を一望する岩場にナキウサギがチョコンと日光浴をしているシーンが目にとまった。なるほどこの山に登れば良いのかと動物写真家のSさんに相談した所、それは白雲山(標高1173m)の山頂とのこと。彼はすでに50回近くもその山に通って、ナキウサギやオコジョを撮っているそうで「良かったら今度ご案内しますよ」とのありがたい言葉。でもまてよ、やはり自分の足で登るしかないのか・・・。
 そして当日、天気は快晴で登山日和。然別湖のチップ(ヒメマス)釣船着場の駐車場横の登山口から頂上を目指した。森のなかを巾1m位しかない急な登りが連続しておりこのところ運動不足気味の私にはかなりきつい。健脚の人なら1時間少々で登れる所を2時間以上かけてやっと頂上の岩峰へたどりついた。
十勝平野を望む方角は雲に覆われていて全く視界がきかなかったが、然別湖側は晴れており夢の様に素晴らしい眺望であった。ハイビジョンのビデオを構えて私が撮影に熱中している間にSさんがナキウサギを見つけて呼びに来てくれた。時々「ピューピュー」と疳高い鳴き声も聞こえる。デジカメに300mmレンズを付けて待つと間もなくガレ場(露岩部)の岩の上にナキウサギが姿を現した。大きさはエゾシマリス位でネズミみたいでもあるが、とても可愛い。
 背景に湖が入るカットも狙いたかったが時間がなくなり、冷たい岩の上にいたので、足の筋肉も痙攣し始めた。後ろ髪を引かれる思いで山を降りたが、湖畔の愛車にたどり着いた時にはとっぷりと日が暮れてしまっていた。THE END


■ エゾナキウサギ(ウサギ目ナキウサギ科)
学名:Ochotona alpine yesoensis
英名:Yezo alpine pika
分布:北海道。大雪山.日高山脈.夕張山地.北見山地等標高400〜2200mの高地。
1925年北見地方で発見された。ナキウサギ(エゾナキウサギ)はモンゴルやサハリンに生息するキタナキウサギの亜種で4万年程前に大陸から渡って来た氷河期の生き残りと言われる小動物。ネズミではなくウサギである証拠に前歯の後に2本の歯があり、尻尾は5cmと短い。ウサギ飛びも出来る。糞は灰緑色の粒コショウの様なのと緑色で細長く柔らかい糞をするが、後者は栄養価があり糞食する習性がある。冬に備えてイソツツジ、チングルマ、ナナカマド、コケモモ等の乾燥野菜を貯える(貯食)天然記念物の絶滅危惧種の指定が望まれており、そのための運動が行われている。

ナキウサギ  
 
然別湖  
 
 
← 次のページを読む前のページを読む →
← prevnext →homefreshwatersaltwaterothers│diary│ profile
Copyright©2001-2004 Tetsu Taguchi. All rights reserved.