1952年、国の特別天然記念物に指定されたオオサンショウウオ(大山椒魚)。私はその存在を知ったときから、この前世紀の遺物の様な大型の両生類を自然の河川で観察して見たいと思っていました。幸い、姫路水族館の館長さんを勤めておられた栃本武良氏が数年前から兵庫県生野銀山湖の流入河川、黒川の畔にあった小学校の跡地で、ハンザキ研究所なる施設をオープンされたと言うので、取材にお邪魔しました。
ハンザキとはオオサンショウウオのことで、口が大きく体が半分に裂けている様に見えるからとかヤツザキはともかくハンザキなら生きてる程生命力が強いから等の説があります。ハンザキ研究所の入口にある鉄橋の真下にもオオサンショウウオの巣穴があって、夜行性と言われているにもかかわらず、卵を守っていた大型の雄が巣穴から出て動き回っていました。
栃本氏は私を下流にある大きな魚止めの滝に案内してくれたので、早速ドライスーツに身を固め、小型のボンベを背負って潜って見ました。水深6〜7m程の滝壷は入口が狭く、まるで大きな酒樽の中に入った様な感じで、薄暗いが水面からはオーロラの様な入射光があり、幻想的な雰囲気。底の方には10匹程のニゴイガ群れている。アユやウグイも多い。何匹かのアマゴに混じって何と生野銀山湖から遡上して来た降湖型のサツキマスも数匹見られた。
隅の方には大型のオオサンショウウオが2匹じっと潜んでいる。後方にも小型の個体が動き回っていたのでふと目を離したその時、なんとオオサンショウウオがサツキマスにかぶりついたのである。掲載の写真はそのときハイビジョンのビデオで撮影した一コマ。私は動きが緩慢で退屈しかけていたのとはうって変わり感激してビデオを回し続けました。そしてこの細い山奥の渓流で大型のサンショウウオがこれまで命脈を保ち続けて来たことが納得出来たのです。
■オオサンショウウオ
学名:Andrias jyaponicus
英名:Japanese giant salamander
分布:岐阜県以西の本州と四国、大分県。河川の上流〜中流部に棲息する。